どうにか日本に働きに行きたい

日本のパスポート

目次

「日本へ行って働きたいです。どうすればいいですか?」

こうしたお問い合わせは、海外から毎日たくさんきます。日本に住んでいる日本人としては、とても嬉しいお問い合わせです。ただ、実際には、かなり難しいケースがたくさんあります。外国人の人が日本にきて働くには「就労ビザ(Work visa)」が必要ですが、 これがなかなか大変なのです。

なので今回は、日本に行って働きたいという外国人の人が、どのようにすれば日本に来て働けるのか。その手続について概要をお話したいと思います。(今回はあくまで概要で、具体的な条件や手続方法はそれぞれの記事に書きますね。)

海外にいる外国人が、日本に来て日本の会社で働くにはいくつかのステップがあります。

  • ビザの可能性を確認する★
  • 就職する会社をみつける
  • 雇用契約書をつくる★
  • 在留資格認定証明書をとる★
  • 就労ビザで入国する

ざっくりいうと、このような流れになります。(★は普段の当事務所の業務です)

なので、突然、日本にいる知人や会社あるいは私たち行政書士にメールやメッセージを送っても、すぐに日本に来ることはできません。1~4の流れをしっかり抑えることがとても大切で、いきなり5番にはいきません。

順番にみていきましょう。

①ビザの可能性を確認する

最初にやるべきことは、「ビザの可能性を確認すること」です。

実はこれが一番大切なんですが、これを抜かして、あとでトラブルになることがよくあります。

日本に来たいという外国人の人が「働く会社をさがす」前に、です。もちろん外国人を雇いたいという会社さんも「雇用契約を結ぶ」前に、必ずビザの可能性を確認してください。

外国人が日本で働くための資格(これを在留資格といいます)には、実は何十もの種類があります。

たとえば、英語の先生だったら「技術・人文知識・国際業務」だとか。レストランのシェフだったら「技能」とか。
あとスポーツ選手の「興行」とか、介護福祉士の「介護」だとか。仕事の内容ごとに、こうした働くための在留資格(就労系在留資格)がたくさんの種類あるんです。

気をつけなければいけないのは、1つ1つの就労系在留資格には、それをとるための厳しい条件があることです。

例えば、「技術・人文国際・国際業務」だと、本人が大卒であるとか、業歴10年経験があるとか。「技能」だとシェフ歴10年経験だとか。「興行」だと本人の業績だとか。

もし、「日本にきて働きたい」という英語教師になりたい外国人の人が、例えば大学卒業資格も業歴もないなら、いくら日本の英会話会社に就職が内定しても、就労系在留資格が取れる可能性はありません。

就職活動するだけムダだったということになります。

あるいは、もしかしたら別の仕事に就けば、別の種類の就労系在留資格はとれたかもしれません。そうした場合は、最初からビザの可能性のある仕事を探さなければ、やはり就職活動するだけムダだったことになります。

つまり、まずは、「ビザの可能性を確認すること」。

就労ビザをとって日本に入国するには、就労系在留資格をとるための条件をクリアできるのかどうか。これをまずはしっかり確認することです。

本人の履歴書(学歴、職歴、違反歴など)

これを日本の「出入国管理及び難民認定法」(よく入管法といいます)と照らし合わせて、ビザをとることができるのかを確認しましょう。入管手続専門の行政書士・弁護士に相談いただくのがよいでしょう。

②就職する会社をみつける

次にやるべきことは、働き先となる日本の会社をみつけることです。

といっても、実際はこれがなかなか大変ですね。第一のハードルです。海外にいながらにして、適切な働き先の会社を決めるのはかなり難しいです。

このような場合、まずは「短期滞在ビザ」をとって就職活動をすることが考えられます。数週間から数ヶ月の間、働くことはできませんが短期滞在ビザで就職活動をすることはできます。ただ、アジア・アフリカの「短期滞在ビザ免除」のない国の外国人の場合は大変です。短期滞在ビザをとること自体に手間や時間、招待者がいるのでハードルが高いです。

また、「人材紹介会社」などを通じて就職活動することも考えられます。就職の仲介として人材紹介会社(エージェント)などが入って、就職のマッチングや手続き、オンライン面接などを手配してくれることも多いです。ただ、こちらも外国人に慣れた優良な人材紹介会社を使わなければ、事後のトラブルになることもあります。

いずれにしても、海外の外国人の人が日本で働くための就労系在留資格をとるには、就職先の会社をみつけることがまず必要です。

招待者(就職先会社の人事担当者、日本にいる親戚・知人など)をみつけて短期滞在ビザをとる場合も、人材エージェントを通して就職先会社を見つける場合も、できるだけ多くの情報を集めて就職活動したほうがよいでしょう。

③雇用契約書をつくる

就職先がきまれば、いよいよ日本で働くための準備をはじめていきます。

最も大事なのは、「雇用契約書(Employment contract)」です。

あなたが日本で働くときの条件について、しっかりと把握して決めなればなりません。

どこで働くのか、どんな仕事内容なのか、何時から何時まで働いて、休日はいつで、給与額はいくらになるのか等です。こうした条件について話がまとまれば、条件を文書にします。これが「雇用契約書」です。(労働条件が記載されていれば、内定通知書や労働条件通知書などの場合もあります)

雇用契約書は、日本の労働法にあった内容でないといけません。例えば、労働時間や最低賃金など、ルール違反することは許されません。しっかり確認しましょう。また、雇用契約書は就労系の在留資格をとるときにとても大切な判断資料となります。

よく誤解されやすいのは、税金や社会保険の控除についてです。実際に受け取ることのできる給与の金額についても確認しましょう。労働法をしっかりと守っていること、税金・社会保険の手続きや納付がしっかりなされていることは、入管手続においてもとても重視されています。

なお、ふつう日本の会社は外国人を雇うのに慣れていない場合が多いです。

はじめて外国人を雇う会社はどうしていいのかわからないというところも多いでしょう。外国人を雇ったことのある会社でも、ビザの種類や取得方法についてはよくわからないという会社もあります。労働法を守ることについては日本人を雇用する場面とあまり変わりはないですが、入管法の理解については十分でない場合があります。問題が起こった場合には、外国人本人も雇っている会社も罰則を含めた重い制裁があることがあるので注意が必要です。

もし、外国人の雇用、入管法の理解について理解が不十分だという場合、まずは入管もしくは入管法に通じた専門家(行政書士や弁護士など)にご相談されることをお勧めします。特に就労系の在留資格は種類も多く、法律違反を犯しやすく罰則も厳しいため、不備のないよう十分に慎重に手続きを進めていくのがよいでしょう。

④在留資格認定証明書をとる

勤務先予定の会社が決まり、仕事内容や給与額などの労働条件がきまれば、次はいよいよ入管手続になります。

海外にいる外国人が日本で働く就労系の在留資格をもって日本で働くためには、勤務予定の会社(代表者や人事担当者)が外国人本人の代理人となって、本人にかわって入国在留管理庁(一般に「入管」といいます)に「在留資格認定証明書」の申請を行います。

つまり、日本にいない外国人本人にかわって、会社が外国人本人の申請を行うことになります。

このとき、会社での仕事内容や本人の履歴などの条件がそろっていることの資料を添付書類として申請します。この必要な添付書類については在留資格の種類によって違います。例えば、一番典型的な「技術・人文知識・国際業務」の場合には、このような書類になります。

  • 本人のパスポートコピー
  • 本人の証明写真
  • 本人の履歴書
  • 本人の大学卒業証明書
  • 会社の登記簿謄本
  • 会社の決算書コピー
  • 会社の法定調書合計表コピー
  • 会社の概要書
  • 雇用契約書(労働条件通知書など)

こうした書類を添付して、申請書、職務内容説明書、封筒などとともに申請します。このときのポイントは、それぞれの種類の在留資格ごとに決めれた条件をクリアしていることを、できるだけ公的な書面をつけて説明することです。場合によっては入管からさらに詳しい事情や資料をつけてほしいと追加提出要求がくることもあります。

申請してから概ね2ヶ月の審査期間のあと、許可されれば「在留資格認定証明書」というハガキ大サイズの文書が送られてきます。

在留資格認定証明書は、外国人の在留資格を管轄している入国在留管理庁がすでにその外国人の履歴や会社の規模・実績、雇用契約の内容などから判断して、日本で働いてもらうための就労系在留資格が一応あるだろうというお墨付きの書類です。

在留資格認定証明書をうけとったら、会社はすぐにこれを外国にいる外国人本人に送付してください(DHLなど迅速で安全性の高い国際輸送サービスを利用することをおすすめします。)。ここまでが在留資格認定証明書の手続きです。

もし、万が一、在留資格認定証明書が許可されずもらえなかった場合は、入管に不交付理由を聞きにいきましょう。できれば入管手続の専門家に随行してもらうのがよいでしょう。不交付理由が明らかであれば、それをクリアできれば再び申請することももちろんできます。

⑤就労ビザで入国する

最後にいよいよ、入国の手続きです。

日本から送られてきた認定証明書を受け取った外国人の方は、パスポート・認定証明書(あとできるだけ日本の会社の登記簿謄本や雇用契約書も、国によりますが)をもって、その国の日本大使館・領事館(国によっては認定旅行代理店が代理)で就労ビザ(正式には「査証」といいます)を申請してください。

すでに日本国内での審査がおわって、入管のお墨付きにあたる認定証明書がでていますので、通常は数日で日本に入国するための査証が発給されます。これで日本へ行くための準備完了です(ただ、フィリピン・ベトナムなど一部の国によってはその国の労働局への届出・許可がないと出国できない場合もあります)。航空機を予約して来日準備を進めてください。

来日する際には、飛行機または船が日本に到着後、入国審査が行われます。パスポートに就労ビザ(査証)が貼られていると思いますので、それが確認されます。また、認定証明書も一緒にもってきてください。。

入国審査が無事におわると日本に入国です。在留カードが渡されますので確認をしてください。

在留カードは、日本で働くための在留資格の証明書そのものです。日本で生活するにあたって一番大事な身分証明だといってもよいです。いつも肌見放さず身につけておいてください。また、入国後は住所が決まっていれば市役所等で住所登録が必要です。

また会社に出勤したら、あらためて労働条件を確認して雇用契約書や就業規則を確認しましょう。税金・社会保険の手続については特にしっかり把握しておきましょう。これらに不備があると、次回の更新(ふつうは1年後、3年後、5年後などになります)のときに問題になる場合もあります。また、住む予定の賃貸マンションの契約、水道光熱費や通信費などの契約などの契約ごとについては、もし慣れていなければ会社の人などに聞いてトラブルがないように気をつけましょう。

特になにもなければ、次は在留カードの書いている「在留期限」までに在留資格更新申請を行って滞在延長を許可してもらうことができます。期限までに転職や活動内容の変更などがある場合は在留資格変更手続きなどが必要となる場合もあります。その際はできるだけ入管手続の専門家に相談をして不備なく手続きを行うようにしてください。

日本のパスポート

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

Satoshi Kawazoeのアバター Satoshi Kawazoe Immigration Lawyer

多文化共生コンサルティングの合同会社グローカリンク(代表社員)
外国人法務専門の行政書士川添国際法務事務所(代表行政書士)

目次
閉じる